2024/09/11

小・中学校入学者予防接種確認事業結果発表

 原文リンク 2024年9月10日

 

小・中学校入学者予防接種確認事業結果発表

- 2024年小・中学生入学者の必須予防接種完了率がそれぞれ28.5%p、40.1%p増加
- 高い予防接種率の維持は学齢期の感染症伝播予防に重要なため、持続的な関心を呼びかける

 

  疾病管理庁(庁長チ・ヨンミ)と教育部(副総理兼長官イ・ジュホ)は9月10日(火)、'24年小中学校入学者の予防接種確認事業の結果を発表した。

 

  疾病管理庁と教育部は、関連法令*に基づき、各自治体及び第一線の学校とともに、入学後の小中学生の必須予防接種**の完了有無を確認し、未完了の入学生に予防接種を促す事業を'01年から継続して実施している。

 *「感染症の予防及び管理に関する法律」第31条、「学校保健法」第10条

 ** (初等、4種) DTaP(ジフテリア/破傷風/百日咳)、IPV(ポリオ)、MMR(はしか/おたふく風邪/風疹)、日本脳炎

  (中等、3種) Tdap(Td)(破傷風/ジフテリア/百日咳)、日本脳炎、女子HPV(ヒトパピローマウイルス)


2024年の確認事業の結果、小学校入学生の必須予防接種完了率*は92.3%、中学校入学生は76.4%と確認され、これは2023年の結果に比べてそれぞれ1.3%p(91.0%→92.3%)、9.2%p(67.2%→76.4%)増加した数値である。

  * 小・中学校入学前に必要な必須予防接種(添付1)をすべて完了した学生の割合


 また、必須予防接種完了率*を2024年確認事業開始前('23.12.31.)と比較した結果、小学校入学者は28.5%p(63.8%→92.3%)、中学校入学者は40.1%p(36.3%→76.4%)増加した。

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  イ・ジュホ副首相兼教育部長官は、「各自治体や小中学校の協力を通じて入学生の予防接種歴を確認し、保護者に案内した結果、必須予防接種完了率が上昇した」とし、「これは多くの保護者が積極的に国家予防接種事業の必要性に共感し、協力していただいたおかげ」と明らかにした。

 

  ジ・ヨンミ疾病管理庁長は「国家予防接種に積極的に参加してくれた保護者に感謝し、万が一、時期を逃した予防接種がある場合は、最寄りの指定医療機関*を訪問して医療スタッフと相談し、できるだけ早く接種を完了することが重要」と強調し、

  * 指定医療機関確認:疾病管理庁予防接種ホームページ(https://nip.kdca.go.kr)

 

「特に、2011年生まれは今年12月31日までにTdap(Td)、日本脳炎、女児HPV(健康相談を含む)ワクチン費用を支援される最後の年なので、忘れずに接種を完了してほしい」と呼びかけた。

 


添付

 

 2024年小中学校入学者予防接種確認事業の主な内容

 

□ 確認事業対象

  (小学生) 353,330名(2017.1.1.1.~12.31.出生者及び義務就学者)

  (中学生) 450,080人(2011.1.1.~12.31.出生者及び入学者)

 

  教育部入学者情報と疾病管理庁の予防接種記録を連携した2024年度小中学校・高等学校入学者数

 

□ 確認事業対象予防接種

 

   (小学校) 4~6歳追加予防接種 4種混合ワクチン

 

    DTaP(ジフテリア/破傷風/百日咳)5次、IPV(ポリオ)4次、

  MMR(はしか/おたふく風邪/風疹)2次、

  日本脳炎(不活化ワクチン4次または弱毒化生ワクチン2次)

 

  (中学生) 11~12歳追加予防接種3種混合ワクチン

 

  ※ Tdap(Td)(破傷風/ジフテリア/百日咳) 6次、

   日本脳炎(不活化ワクチン5次または弱毒化生ワクチン2次)

   女児HPV(ヒトパピローマウイルス)1回目 

 

□ 主な内容

 

  ○ 小中学校入学者の必須予防接種完了率はそれぞれ92.3%、76.4%です。

(単位:%)

区分

小学校入学者の必須予防接種完了率

中学校入学者必須予防接種完了率

DTaP 5次

IPV 4

MMR 2

日本脳炎

(死4次または生2)

4種ワクチン接種完了率1)

Tdap(Td) 6

日本脳炎

(死5 又は生2)

女児

HPV 1

3종種ワクチン接種完了率2)

事業前

(2023.12.31.)

90.7

90.7

89.8

68.1

63.8

60.1

46.3

44.4

36.3

入学時

(2024.2.28.)

94.8

95.1

94.7

84.5

81.8

80.6

73.6

67.9

64.7

事業後

(2024.5.31.)

96.9

97.8

97.8

94.0

92.3

88.2

`83.0

79.2

76.4

  2024.5.31.現在、予防接種統合管理システムに電算登録された内訳で変動可能な暫定統計である。

1) DTaP5次、IPV4次、MMR2次、日本脳炎(不活化ワクチン4次または弱毒化生ワクチン2次)をすべて完了した小学校入学者の割合。

2) Tdap(Tdap)6次、日本脳炎(不活化ワクチン5次または弱毒化生ワクチン2次)、女児HPV1次を全て完了した中学校入学者の割合

 

  前年比(2023年vs.2024年)対象別/ワクチン別完了率の状況

小学校入学者の必須予防接種完了率

中学校入学者必須予防接種完了率

ワクチン

2023年

(2016年生まれ)

(%)

2024年

(2017年生まれ)

(%)

増減率

(%p)

ワクチン

2023年

(2010年生まれ)

(%)

2024年

(2011年生まれ)

(%)

増減率

(%p)

DTaP

96.8

96.9

0.1

Tdap(Td)

82.5

88.2

5.7

IPV

97.5

97.8

0.3

日本脳炎

76.8

83.0

6.2

MMR

97.6

97.8

0.2

女児HPV

71.1

79.2

8.1

日本脳炎

92.6

94.0

1.4

3種ワクチン

67.2

76.4

9.2

4種ワクチン

91.0

92.3

1.3

-

-

-

 

  予防接種統合管理システムに電算登録された内訳で変動しうる暫定統計である。

2024/09/09

'24~'25年節気コロナ19予防接種 新規変異対応ワクチン500万回分今週導入(9月9日)

 原文リンク 2024年9月9日

 

'24~'25年節気コロナ19予防接種 新規変異対応ワクチン500万回分今週導入(9月9日)

 '24~'25年節気コロナ19予防接種の円滑な開始(10月中)のためのJN.1対応新規ワクチンの迅速かつ安全な国内導入の推進

 

  疾病管理庁(庁長チ・ヨンミ)は、'24~'25節気のコロナ19予防接種に活用するファイザーの新規変異(JN.1)ワクチンの初回分419万回分が本日('24年9月9日)国内に到着し、81万回分も順次導入され、合計500万回分*が今週中に国内に導入される予定であると明らかにした。

  ファイザーの確保数量は合計523万回分、残り23万回分は今後導入予定。

 

 疾病管理庁は、これまでJN.1変異対応新規ワクチンの迅速な国内導入のため、食品医薬品安全処及び各製薬会社と品目許可など関連手続きを進め、当該ファイザーワクチンは8月30日(金)に食品医薬品安全処の品目許可を受けた。

   (海外許可) 欧州('24.7.3.)、英国('24.7.24.)、日本('24.8.8.)

 

  参考までに、Moderna JN.1変異対応新規ワクチンも国内品目許可が進行中で、許可後の接種時期に合わせて合計200万回分を順次国内導入する予定であり、合成抗原ノババックスワクチンも緊急使用承認後、合計32万回分を導入する計画である。

 

 また、疾病管理庁は、'24~'25節気のコロナ19予防接種計画は9月中に発表する予定であり、製薬会社別のJN.1変異対応新規ワクチンが'24~'25節気のコロナ19予防接種期間に安定的に供給されるように持続的に努力する計画だと明らかにした。

2024/09/07

今年の夏季コロナ19の流行、2週間連続で減少傾向

 原文リンク 2024年9月6日


 今年の夏季コロナ19の流行、2週間連続で減少傾向

-  疾病管理庁の入院患者標本監視など、多層的な監視体制指標の大半が減少傾向を維持

 

〇 第35週(8.25.~8.31.)コロナ19標本監視入院患者など、2週間前をピークにほとんどの指標が減少傾向持続

 - (標本監視入院患者数) 33週(1,464人) → 34週(1,163人) → 35週(837人) 報告、2週間前比48.2%減少(前週比28.0%減少)

 - (重症急性呼吸器感染症標本監視入院患者数) 33週(60人) → 34週(46人) → 35週(49人), 2週間前比18.3%減少(前週比微増)

   - (病原体検出率) 33週(43.4%)→34週(39.0%)→35週(34.0%)、2週間前比9.4%p減少

  - (下水基盤監視) コロナ19ウイルス濃度も2週間前比27%減少

  - (救急室のCOVID-19来院患者数) 33週(13,382人) → 34週(8,221人) → 35週(5,048人), 2週間前比62.3%減少


〇 夏季の流行は減少傾向だが、故郷を訪れる秋夕期間に高齢者など高リスク層を保護するため、マスク着用、手洗い、室内換気など、新型コロナウイルス感染症予防のための予防策を積極的に遵守。

 

 

  疾病管理庁(長官チ・ヨンミ)は、多層的な監視体制*を通じてコロナ19の流行動向を分析した結果、今年の夏季のコロナ19の流行減少傾向が2週間連続で続きピークを過ぎたと判断されると明らかにした。 

 

* 標本監視 入院患者関連急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection, ARI)・重症急性呼吸器感染症(Severe Acute Respiratory Infection, SARI)、国内インフルエンザ及び呼吸器ウイルス病原体標本監視(K-RISS)、下水基盤感染症監視(KOWAS)、救急室来院患者数モニタリング

 

 7月から8月中旬まで増加していたCOVID-19の標本監視入院患者数*は、過去35週(8.25.~8.31.) 837人でピーク(33週、1,464人)比42.8%減少し、2週連続で大幅な減少傾向を示した。

  重症急性呼吸器感染症標本監視**では、COVID-19の入院患者数が32週目(8.4.~8.10., 83人)にピークを記録した後、2週連続で減少したが、35週目(8.25.~8.31.)は49人で前週比微増(6.5%)した。

 * (ARI、コロナ19入院患者標本監視)'24.1.1.1.以降、全国200病床以上の病院級標本監視医療機関(220ヵ所)から毎週コロナ19入院患者数の報告

** (SARI、重症急性呼吸器感染症(コロナ19を含む)標本監視) 全国の総合病院級以上の標本監視医療機関(42ヵ所)に入院した患者のうち、申告基準(➊発熱経験または38度以上の高熱、➋咳、➌10日以内に発生、➍入院を必要とする場合)に該当する新型コロナ19入院患者数の申告

 

区分

31週

(7.28.~8.3.)

32

(8.4.~8.10.)

33

(8.11.~8.17.)

34

(8.18.~8.24.)

35

(8.25.~8.31.)

コロナ19標本監視

入院患者数*

879名

1,366

1,464

1,163

837

重症急性呼吸器感染症

コロナ19入院患者数*

59

83

60

46

49

* 各入院患者数は暫定統計で変動する可能性があり、35週はARI 220機関、SARI 39機関から報告。

 

 入院患者数の減少とともに、コロナ19の病原体検出率*も8月5週目(35週目)が34.0%(前週比-5.0%p)で2週連続の減少傾向が確認された。コロナ19などの感染症の発生動向を多層的に監視するために実施する下水監視**でも、ウイルス濃度が34週目から2週連続で減少(前週比-13%)した。

 * 国内インフルエンザ及び呼吸器ウイルス病原体標本監視(K-RISS)病原体検出率、(31週)39.2% → (32週)43.5% → (33週)43.4% → (34週)39.0% → (35週)34.0%。

** 全国下水処理場など84ヵ所で下水中のコロナ19ウイルス濃度を測定してモニタリングを実施

 

 

コロナ19予防の主な内容▶

 

 

 

 

手洗い、換気、咳エチケットなど、基本的な予防を徹底する。

人が多く密閉された室内ではマスクの着用が感染予防に役立つ。

医療機関や感染脆弱施設などを訪問する際は、マスクを着用するよう勧告

新型コロナウイルスに感染した場合、マスクの着用と不必要な出会いや外出を控えることを勧告。

発熱、呼吸器症状などがひどい場合は自宅で休み、会社・団体・組織なども構成員が病気になったら休めるように病欠などを提供するよう勧告。

高リスク層が多く利用する医療機関や感染脆弱施設*についても、従事者・保護者及び訪問者はマスクの着用を推奨

 

  * 感染脆弱施設:療養病院、療養施設、精神保健増進施設、障害者施設など。

  * 秋夕連休など病院訪問時、発熱クリニックまたはコロナ19診療協力病院を訪問する。 

2024/09/03

疾病庁、コロナ19 mRNAワクチン 免疫反応の調節過程を解明

原文リンク  2024年8月30日

 

疾病対策庁、コロナ19 mRNAワクチン

免疫反応の調節過程を解明

-メッセンジャーリボ核酸(以下、mRNA)ワクチン接種部位での単一細胞転写体分析で初期免疫反応メカニズムを韓国科学技術院と共同解明

- 注入されたmRNAと脂質ナノ粒子が初期免疫を高めることでワクチンの効能増強につながる

 

 疾病管理庁(庁長チ・ヨンミ)国立保健研究院(院長パク・ヒョニョン)は、mRNAワクチンの接種部位で初期免疫増強効果を誘導するメカニズムを発見し、その研究結果を世界的な学術誌であるネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications(IF*=14.7))ジャーナルに2024年8月27日に掲載したと発表した。

  * IF (Impact factor) : 学術ジャーナルの影響力を測定する指標として、引用回数が多いほど指標が高い。

 

  今回の研究は、国立保健研究院公共ワクチン開発支援センター感染症ワクチン研究課(課長キム・ドギュン)韓国科学技術院のパク・ジョンウン教授の研究チームが共同で行った研究で、実験用ラット(マウス)にコロナ19 mRNAワクチンを投与した後、単一細胞転写体分析*技術を活用してmRNAワクチンの初期免疫反応を明らかにして発表したものである。

 * 単細胞転写体分析:細胞一個単位で収集した転写体(遺伝子から転写されるRNAの総体)データを分析し、各細胞内の遺伝子発現度を測定できる最新の分析手法。


    mRNAワクチン技術は、COVID-19のパンデミックを経験し、短期間で世界的にその価値を証明し、感染症対応だけでなく、がんワクチンのような治療戦略としても開発が活発に行われている。しかし、より安全で効果的なワクチン開発のためには、mRNAワクチンの初期免疫学的メカニズムを深く理解することが非常に重要である。

<図1.mRNAワクチン接種部位の初期免疫反応模式図(Biorender.comで製作)>

 

図の説明: mRNAワクチンの筋肉接種時、接種部位でワクチンの構成物質である脂質ナノ粒子によって炎症性サイトカインとケモカイン(chemokine)の発現量が増加し、注入されたmRNA分子によって線維芽細胞でインターフェロンベータの発現量が増加し、移動性樹状細胞でインターフェロン刺激遺伝子の活性化を誘導し、抗原特異的細胞性免疫反応を向上させる。

 

  mRNAワクチンは、mRNA分子とそれを取り巻く脂質ナノ粒子(Lipid nano particle, LNP)で構成される。mRNAは抗原タンパク質を合成できる遺伝情報を含んでおり、脂質ナノ粒子はmRNAを保護して私たちの体の細胞内に入れる移動装置の役割をする。

 最近の研究によると、脂質ナノ粒子は単にmRNAの担体としての役割だけでなく、脂質ナノ粒子自体が強い免疫増強剤*(adjuvant)の役割を果たすことが報告されている。

  * 免疫増強剤:ワクチンに対する免疫反応を増加させたり、調節する物質。


 本研究では、マウス動物モデルにCOVID-19 mRNAワクチン接種後、注射部位の筋肉組織から細胞を分離し、接種部位で起こる脂質ナノ粒子およびmRNA分子による初期遺伝子発現の様相を単一細胞転写体分析法によって分析した。

   本研究を通じて、注射部位で脂質ナノ粒子により炎症性サイトカインとケモカイン遺伝子発現が増加し、初期免疫増強効果が誘導されることを確認し、注入されたmRNA分子はインターフェロンベータ遺伝子発現を通じて接種部位及びリンパ節の移動性樹状細胞(migratory dendritic cells)の活性化を助け、ワクチンによる細胞性免疫反応を促進することが確認された。. 

 

 今回の研究は、mRNA分子と脂質ナノ粒子自体によって活性化される初期免疫反応経路および作用機序に対する洞察を得ることに貢献したという点で意義が大きい。

 

  感染症ワクチン研究課のキム・ドグン課長は、「今後、mRNAワクチンの成分であるmRNAと脂質ナノ粒子の調節を通じて初期免疫反応を制御することで、T細胞反応を活性化させながら過剰な免疫反応を下げるmRNAワクチンを持続的に開発したい」と述べたと明らかにした。 

 

   チ・ヨンミ疾病管理庁長は、「mRNAワクチンのメカニズムに関する研究を基に、今後、mRNAプラットフォームの患者に合わせた治療薬ワクチンなど、多様な活用と効果的な次世代ワクチン技術の商用化が実現できるよう努力していきたい」と述べた。


 

添付

 

 研究成果の主な内容

□ 論文情報

論文名

Innate immune responses against mRNA vaccine promote cellular immunity through IFN-β at the injection site

ジャーナル名

Nature Communications (IF 14.7)

著者

キム・ソンリョン、チョン・ジョンヒャン、キム・ミョンファン、イ・イェジ、ファン・ユンホ、パク・ミョンソン、イ・サンソン、イ・テヨン、イ・ジョンア、キム・ユミ、キム・ドギュン、イ・ヒョクジン、キム・ビュンナリ、パク・ジョンウン、ヨ・ジンア 

  * (共同第1著者) キム・ソンリョン(韓国科学技術院), チョン・ジョンヒャン(国立保健研究院)

  * (共同筆頭著者) ヨ・ジンア(国立保健研究院), パク・ジョンヨン(韓国科学技術院)

 

 

研究の背景と必要性

 ○ 重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2(SARS-CoV-2)は2019年末に出現し、世界的な新型コロナウイルスのパンデミックを引き起こした。

 ○ mRNAワクチンはCOVID-19ワクチン開発に革命を起こし、効果的な予防剤となったが、その効能の基礎となる免疫学的メカニズムは詳しく知られていない。

 ○ 本研究では、脂質ナノ粒子(LNP)またはmRNAワクチン(mRNA+LNP)接種後、単細胞転写体解析を行い、ワクチン接種部位におけるmRNAワクチンの各成分である脂質ナノ粒子およびmRNAの初期免疫反応を調査した。 

 

 

研究方法

 ○ COVID-19 mRNAワクチンを実験動物に筋肉接種し、複数の時点(接種後2/16/40時間)で単一細胞転写体分析(single cell RNA-sequencing)を実施。

 ○ 接種部位でmRNAワクチンが投入される細胞を区別し、対照群(PBS接種群)と比較して発現量が増加する遺伝子(DEG: differential expressed gene)を細胞タイプ別に分析し、重要な遺伝子群を選別する。

 

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<mRNAワクチン接種動物の単細胞転写体研究方法>

 

研究成果

 ○ mRNAワクチン筋肉接種16時間後、脂質ナノ粒子だけでも強い免疫反応が誘導され、接種部位の線維芽細胞*にmRNAワクチン投入量が著しく高くなることを確認し、それに伴いインターフェロン*ベータの発現が増加することを確認した。

 * 繊維芽細胞:細胞外基質とコラーゲンを合成する細胞の一種で、動物組織の構造的骨格を生成し、動物の結合組織に重要な細胞です。

  * インターフェロン:抗ウイルス性免疫物質の一つで、先天性免疫細胞(T細胞、B細胞、  (T細胞、B細胞、マクロファージなど)の活性を増加させ、免疫システムを強化する役割。

 

○ mRNAワクチン接種16時間後、インターフェロンベータにより、接種部位とドレインリンパ節(draining lymphnode)の移動性樹状細胞*集団において、第1型インターフェロンに関連する遺伝子発現が増加することを確認。

   * 排水リンパ節:感染または注射部位から最も近いリンパ節で免疫作用をするリンパ球を作り、体を防御する役割を果たす。

  * 樹状細胞:外来抗原を処理して免疫系の他の細胞のために表面に表示する抗原伝達提示細胞。

 

 ○ 転写体実験の結果から、マウスモデルにインターフェロンベータを追加または遮断した場合、それぞれワクチンによる免疫原性の向上と減少を確認し、mRNAワクチン機能に対するインターフェロンベータの免疫学的役割を初めて明らかにした。

 

그림입니다. 원본 그림의 이름: image1.png 원본 그림의 크기: 가로 1926pixel, 세로 1197pixel

<mRNAワクチン接種部位の単細胞転写体研究成果>

 

結論と期待効果

 ○ 今回の研究は、COVID-19 mRNAワクチン接種部位での単一細胞転写体分析を通じて、mRNAワクチンの初期免疫反応のメカニズムを明らかにした。

 ○ mRNAワクチンの構成要素である脂質ナノ粒子の強い免疫増強の役割を明らかにし、接種部位の線維芽細胞にmRNAワクチンが過剰投入された後、mRNA成分によってインターフェロンベータが誘導され、T細胞の免疫活性を助けるメカニズムを新たに明らかにした。

 ○ 今回の研究成果は、mRNAワクチンが引き起こす免疫反応に関連する遺伝子の機能を理解し、今後、効果的なmRNAワクチンを開発するための新たな研究方向を提示する見通しである。