原文リンク 2020年10月5日翻訳
コロナ19関連小児・青少年多臓器炎症症候群(韓国疾病管理庁10月5日資料より)
要約
* 韓国で2人、米国935人(死亡19人)、フランス79人(死亡1人)、英国78名(死亡2名)など
* 事例定義、外国の事例
□ 中央防疫対策本部は、国内でコロナ19関連小児・青少年多臓器炎症症候群(MIS-C、Multisystem Inflammatory Syndrome in Children)の事例が確認されたと述べた。
○ 小児・青少年多臓器炎症症候群は2020年4月以降、ヨーロッパやアメリカで小児・青少年を中心に報告された特異事例として、コロナ19感染の数週間後、発熱、発疹、多発性臓器機能損傷などが現れた全身性炎症反応を特徴とする。
○ 中央防疫対策本部は、コロナ19関連小児・青少年多臓器炎症症候群の国内の現状の把握を、5月25日から行っている。
- 現在までの国内申告事例7人の疫学調査、実験室検査と専門家会議の結果、2人の事例が合致すると判定され、現在2つの事例とも症状が好転し退院した状態である。
- 最初の事例(11歳/男性)は2020年1月〜3月にフィリピン旅行歴があり、発熱・腹痛などで4月29日〜5月11日入院治療後退院した事例であり、5月25日に申告され、最初の専門家の事例判定会議(5.31)の結果コロナ19感染関連検査結果が基準を満たしていない未適合事例に分類されたが、後に施行された抗体検査で陽性と確認されて専門家の事例判定会議(9.28)の結果、最終的に事例に合致すると判定され、
- 2番目の事例(12歳/男性)は、コロナ19確定者と接触してコロナ19に対して8.19〜9.1入院治療後退院したが、後に発熱・腹痛などで再び9.14〜9.23入院治療後退院した事例であり、9.17に申告され疫学調査と専門家の事例判定会議(9.28)の結果事例に合致するものと判定された。
○ 中央防疫対策本部は、韓国はヨーロッパ、アメリカ*などに比べてコロナ19発生レベルが相対的に低く、小児・青少年多臓器炎症症候群の発生も稀だが、
*米国935人(死亡19)、フランス79人(死亡1)、イギリス78人(死亡2)などの報告
- これからコロナ19関連小児・青少年多臓器炎症症候群の事例の監視および調査を継続する計画だと明らかにし、
- マスクの着用、手洗い、社会的距離確保など、コロナ19予防の心得の継続的な遵守を呼びかけた。
添付 3 | | コロナ19関連小児・青少年多臓器炎症症候群の 主な臨床症状と事例定義 |
○ 主な臨床症状
- (発生時期)コロナ19感染2〜4週間後
- (年齢)3ヶ月〜20歳
- (主な症状)、発熱、消化器系の症状(腹痛、下痢、嘔吐など)、発疹など
- (発生頻度)コロナ19感染小児の0.016%〜0.31%
- (治療)保存的治療で回復、一部は、心臓や呼吸器系の治療が必要
* Morand et al., COVID-19 and Kawasaki like diseases: the known-known, the unknown-known and the unknown-unknown
* Radia et al., Multi-system inflammatory syndrome in children & adolescents(MIS-C): A systematic review of clinical features and presentation
○ 事例定義
下の5つの項目すべてを満たすなければならない |
1 | 満19歳以下の小児・青少年の38℃以上の発熱が24時間以上持続 |
2 | 炎症の検査室証拠(ESR, CRP, fibrinogen, procalcitonin, d-dimer, ferritin, LDH interleukin 6, neutrophilの上昇, albumin 減少など) |
3 | 複数2つ以上の臓器を侵し(心臓、腎臓、肺、血液、消化管、皮膚、神経系)入院を必要とする重症の状態 |
4 | 炎症の原因となる他の病原体が確認されていない *細菌敗血症、ブドウ球菌や連鎖球菌に起因する毒性ショック症候群、エンテロウイルスによる心筋炎など |
5 | 現在または最近コロナ19感染の証拠 *診断検査陽性(PCR検査、抗体検査、抗原検査)の結果(または) |
発症前の4週間以内にコロナ19へ暴露歴がある場合 *感染者との接触、国内集団発生と疫学的関連性など |
添付 4 | | コロナ19関連小児・青少年多臓器炎症症候群 国外報告事例の現状 |
□ 国外の現状
○米国(2020年5月〜9月17日)
- 報告事例:935人(死亡19)
- 年齢:平均8歳、ほとんど1〜14歳の年齢で報告
- 発生:ほとんどコロナ19感染後の2〜4週間以内に発生
- 性別:男性55%
* Health Department-Reported Cases of Multisystem Inflammatory Syndrome in Children(MIS-C) in the United States
○フランス('20.3.1〜5.17)
- 報告事例:79人(死亡1)
- 年齢:中央値8歳、ほとんど5〜11歳で報告
- 特性:67%が集中治療室で治療
* SARS-CoV-2-related paediatric inflammatory multisystem syndrome, and epidemiological study, France, 1 March to 17 May 2020
○ イギリス(2020年4月1日〜5月10日)
- 報告事例:78人(死亡2)
- 年齢:中央値11歳、ほとんど8〜14歳で報告
- 特性:46%が機械呼吸の治療の実施
* Intensive care admissions of childen with paediatric inflammatory multisystem syndrome temporally associated with SARS-CoV-2(PIMS-TS) in the UK: a multicentre observation study
○体系的文献考察研究の結果(2020年3月から6月)
- 分析対象:世界35カ所研究
- 報告事例:783人(死亡12)
- 年齢:平均8.6歳
- 性別:男性56%
- 特性:68%が集中治療室の治療
* Multi-system inflammatory syndrome in children & adolescents(MIS-C): A systematic review of clinical features and presentation
※今回の判定事例(2人)のほか、東アジア地域のMIS-C報告事例は、現在までにない