2022/07/01

昨年(2021年)コロナ19以外の主要感染症6.2%減少

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昨年(2021年)、コロナ19以外の主要感染症6.2%減少

- 疾病管理庁、「2021年感染症監視年報」発刊-

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主な内容

  法定感染症申告患者数*669,477人(10万人当たり1294.1人)で前年比301.6%増加

    コロナ19(570,072人)除外時99,405人(人口10万人当たり192.1人)で前年比6.2%減少

    ○ (主な減少感染症) 結核、水痘、はしか、百日咳、しょう紅熱など


□ 第2級感染症のうち呼吸器伝播感染症**患者数は49,943人、前年比22.1%減少

  ○ コロナ19流行による正しい手洗い、マスク着用など個人衛生の改善と社会的距離確保による人との接触頻度の減少などの影響と判断


 海外流入感染症患者数11,992人で前年(5,495人)比118.2%増加

  コロナ19(11,961人、99.7%)を除くと31人で前年(116人)比73.3%減少

 ○ (主要流入感染症)マラリア0.2%、C型肝炎0.04%など

 ○ (主要流入地域)アジア47.7%、アメリカ21.1%、ヨーロッパ18.4%など


 医療機関や関連団体など感染病発生時の迅速な届出と積極的協力を要請

   *標本監視感染症(第4級)は除く患者数

     **結核、水痘、はしか、百日咳、流行性下腺炎、風疹、髄膜炎菌感染症、b型ヘモフィルスインフルエンザ、肺炎球菌感染症、しょう紅熱


 疾病管理庁(庁長ペク・ギョンラン)は2021年、国家感染症監視システム(National Infectious Disease Surveillance System)を通じて申告された法定感染症の現状を分析・整理し、「2021感染症監視年報」を発刊した。 

 ○ 年報には「感染病の予防及び管理に関する法律」第2条に明記された87種*の法定感染病統計が収録されており、2021年には全数監視対象感染病64種のうち37種の感染病が報告され、27種は届出がなかった。

      全数監視対象感染症64種+標本監視対象感染症23種

 

 ○ 2021年法定感染症申告患者数*は669,477人(人口10万人当たり1294.1人)で、2020年166,716人(人口10万人当たり321.6人)比301.6%増加したが、

       標本監視感染症を除く第一級~第三級感染病届出患者数の合計

 

    新種感染症症候群(コロナ19)* 570,072人を除けば、届出患者数は99,405人(人口10万人当たり192.1人)と前年(105,990人)比6.2%減少した。

       国内で初めて発見された感染病または病名がわからないが新たに発生した感染性症候群で、急速な伝播が懸念され緊急措置が必要な疾患で、'09-'10年新型インフルエンザ、'20年コロナ19がこれに属する(' 22年4月25日からコロナ19は第2級感染病に指定) 

    届出件数が増加した主な感染症は、新種感染症症候群(コロナ19)、腸チフス、A型肝炎、B型肝炎、E型肝炎、カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE)、日本脳炎、ツツガムシ症などであり、 

   結核、水痘、はしか、百日咳、流行性下腺炎、しょう紅熱、デング熱、肺炎球菌感染症、腸出血性大腸菌感染症、重症熱性血小板減少症候群、C型肝炎などは前年比減少した。

 

【2019~2021年の法定感染症増減状況】

単位 : 名(増加率, %)

区分

2019年

2020年

2021年

第1級感染症

1

60,727

570,072

第2級感染症

164,879

86,768

  80,611

第3級感染症

 17,690

19,221

  18,794

合計

 182,570

 

166,716

(8.7)

669,477

(301.6)

コロナ19除外時合計

182,570

 

105,990

(42.5)

99,405

(6.2)

「2021年感染病級別」主要感染病申告の状況は以下の通り。 

 ○ 第1級感染症は、新種感染症症候群(コロナ19)の大流行により、「19年1人から、20年60,726人、21年570,072人に増加した。 

    新種感染症症候群(コロナ19)は、コロナ19の全世界的流行による海外流入事例の増加と多数の集団発生で21年570,072人が届けられ、前年(60,726人)比838.8%増加した。

      -  '20年に1人が申告されたボツリヌス毒素症の場合,

         '21年には申告件数がなかった。

 

 ○ 第2級感染症は前年比7.1%減少(20年86,768人→21年80,611人)した。 

     - 特に、呼吸器伝播感染症*患者数が49,943人で、前年(64,067人)比22.1%減少したが、これは'20年以降続いたコロナ19流行による正しい手洗い、マスク着用など個人衛生改善**と社会的距離確保による人間接触頻度の減少、海外旅行の減少***などの影響判断される。

     *結核、水痘、はしか、百日咳、流行性耳下腺炎、風疹、髄膜炎菌感染症、b型ヘモフィルスインフルエンザ、肺炎球菌感染症、しょう紅熱

      ** 外出後手洗い実践率 : (コロナ19発生前(’19年) 85.5% → コロナ発生後(’21年) 94.5%

(出典:21年地域社会健康調査)

     ***国際線旅客数:('19年)90,900,322人→('20年)14,315,695人(△84.3%)→('21年)3,235,646人(△77.4%)(出典:航空情報ポータルシステム(国土交通部) ))

 

    結核は前年(’20年、19,933人)比8.0%減少した18,335人*で、これは2011年以降年平均7.4%ずつ減り、過去10年間で53.6%減少した数値だ。

       * 65歳以上の患者比重 : '11年 11,859人(30.0%) → '20年 9,782人(49.1%) → '21年 9,406人(51.3%)

 

   水痘は前年比33.4%減少('20年31,430人→'21年20,929人)し、未就学児と小学校低学年年齢帯(0〜12歳)で主に発生した。

 

   はしかは前年6人の患者が報告*されたが、21年には申告された患者数が0件で海外旅行減少など国内流入機会が減ったことによるものと見られる。

      すべて海外流入(ベトナム3人、ミャンマー2人、台湾1人)事例


 - 百日咳は前年比82.9%(20年123人→21年21人)、しょう紅熱は前年比70.5%減少(20年2300人→21年678人)した。

 

    E型肝炎は'20年7月から第2級法定感染病に指定され、前年比158.6%が増加('20年191人→'21年494人)した。

 

 ○ 第3級感染症は前年比2.2%減少(20年19,221人→21年18,794人)した。 

    日本脳炎は前年比228.6%増加('20年7人→'21年23人)し、年齢別では40代以上が95.7%(22人)で大部分を占めた。 

    ツツガムシ病は前年比32.1%増加('20年4,479人→'21年5,915人)し、40代以上が全患者の95.1%(5,623人)を占めた。 

    C型肝炎は前年比14.6%減少('20年11,849人→'21年10,115人)し、年齢別では50代以上が全患者の83.9%(8,490人)を占めた。 

    ビブリオ敗血症は前年比25.7%減少('20年70人→'21年52人)し、50代以上が全患者の88.5%(46人)を占めた。 

   後天性免疫不全症(エイズ)は前年比5.5%減少('20年818人→'21年773人)し、20~40代が全患者の78.7%(608人)を占めた。 

    デング熱はすべて海外流入事例で、流入国としてはインド、インドネシアで現れ、21年には前年比93%減少(20年43人→21年3人)した。 

【 最近2年間の主要感染症の報告状況(第2級、第3級)


参考までに、第4級感染症(標本監視対象)のうち急性呼吸器感染症、インフルエンザはマスク着用などの個人衛生改善*と社会的距離確保の影響で前年に続いて低水準の発生を維持した。

       外出後手洗い実践率 : (コロナ19発生前(’19年) 85.5% → コロナ発生後(’21年) 94.5%(出典:21年地域社会健康調査 

   急性呼吸器感染症の報告患者数は合計18,004人で、前年(24,260人)比25.8%減少した。 

   インフルエンザは昨季(2020-2021)に続き、2021-2022節季にも流行基準*を超えず、流行注意報は発令されなかった。

      疑似患者1,000人あたり1〜3人で、21-22節季に流行基準(5.8人)以下維持

 

【インフルエンザ疑似患者臨床監視の現状】

 海外流入感染病は持続的に増加し、2010年以降毎年400~700人内・外に報告されていたが、 

 ○  '20年には5,495人が申告され、'19年(755人)比627.8%増加し、'21年には11,992人で前年(5,495人)比118%増加したが、昨年増加幅よりは低かった。  

   しかし、新種感染症症候群(コロナ19)11,961人を除けば、申告患者数は31人で、前年(116人)比73.3%減少し、これはコロナ19流行で国際線旅客数急減*による結果と判断される 。

     * 国際線旅客数:(’19年)90,900,322人→(’20年)14,315,695人(△84.3%)→(’21年)3,235,646人(△77.4%)(出典:航空情報ポータルシステム(国土交通部)

 ○ ’21年に申告された主要海外流入感染病は新種感染症症候群(コロナ19)が11,961件(99.7%)で大部分を占め、 

   その他にはマラリア(20件、0.2%)、C型肝炎(5件、0.04%)、デング熱(3件、0.02%)などがあった。

 

 ○ 主要流入地域はアジア地域(インドネシア、ウズベキスタン、フィリピン、カザフスタンなど)が全体の約47.7%を占め、次にはアメリカ(21.1%)、ヨーロッパ(18.4%)の順で高く現れた。

 

【2019-2021年海外流入感染症流入大陸状況】

単位: 申告数(%)

区分

アジア

アメリカ

ヨーロッパ

他の大陸

合計

2019

650

(86.1)

10

(1.3)

19

(2.5)

76

(10.1)

755

(100.0)

2020

1,826

(33.2)

1,651

(30.0)

1,432

(26.1)

586

(10.7)

5,495

(100.0)

2021

5,724

(47.7)

2,530

(21.1)

2,210

(18.4)

1,528

(12.8)

11,992

(100.0)

 

 法定感染病による死亡者*は21年5,541人で、前年(20年1,445人)比283.5%増加したが、

 * 結核(結核死亡者数は「死亡原因統計(統計庁、22年9月予定)」に公表)および標本監視感染病を除く

    **  後天性免疫不全症(AIDS)死亡集計は、「後天性免疫不全症予防法」第5条第1項・第3項により、HIV感染者が後天性免疫不全症による死亡またはその他のサインで死亡した場合をすべて含む

 

 ○ 新種感染症症候群(コロナ19)による死亡者5,024人を除いた死亡者数は517人で、前年比1.2%減少した。 

 ○ ’21年に死亡者が発生した主な感染症は、新種感染症症候群(コロナ19)5,024人(90.7%)のほか、

    - カルバペネム耐性腸内細菌科細菌(CRE、277人、5.0%)、後天性免疫不全症(112人、2.0%)、肺炎球菌感染症(36人、0.7%)、重症熱性血小板減少症候群(26人、0.5%) 、ビブリオ敗血症(22人、0.4%)、レジオネラ症(10人、0.2%)などがある。


疾病管理庁ペク・ギョンラン庁長は「3年目のコロナ19の流行状況でも感染病統計を算出できるように、感染病患者の発生を積極的に報告して頂いた医療機関および団体に感謝する」と伝えた。

 

 ○ また「感染病監視年報を保健政策、学術研究など多様な目的で活用できるようにファイル形式でホームページに掲示(22年6月30日予定)する」、

 

    「今後冊子の形で製作し、関連保健機関、医科大学図書館などに7月頃配布する予定」と明らかにした。

     * 標本監視感染症(第4級)を除く

 

<年度別法定感染病発生推移>

        

年度

2017

2018

2019

2020

2021

 * 10万人当たり発生率:年間届出数を当該年度住民登録年央人口で割った値

10万名当たり

発生率

347.7

377.7

352.2

321.6

1294.1