2023/07/03

コロナ19予防接種、コロナ19感染後の主要疾患発生リスク率を下げる

 原文リンク 2023年7月3日

コロナ19予防接種、コロナ19感染後の主要疾患発生リスク率を下げる

- ビッグデータを利用した慢性コロナ19症候群調査研究中間結果発表

- コロナ19に確診した1200万人余りを4ヶ月間追跡観察、27の主要疾患の発生リスクを接種有無、回数別に比較

- 2回以上接種者は未接種者に対する心臓、血栓、腎臓、呼吸器など疾患の発生リスクが有意に減少

深層研究のためのコロナ19確診歴のある国民参加と関心が持続必要

 

   疾病管理庁(庁長チ・ヨンミ)国立保健研究院(院長職務代理チャン・ヒチャン)は、コロナ19感染後も持続する症状に対する体系的な調査研究を推進中で、ビッグデータを利用した慢性コロナ19症候群(コロナ19後遺症)中間分析結果を 発表した。

 

  「慢性コロナ19症候群調査研究」(研究責任者ハンリム大学医学部イ・ジェガブ教授)は、臨床コホート基盤の長期間観察研究、コロナ19ビッグデータ活用研究、発生機序の究明など多角的な調査研究を通じて慢性コロナ19症候群治療のための診療 指針科学的根拠づくりのために遂行する事業だ。

 

   本事業のうち、疾病管理庁及び国民健康保険公団のコロナ19ビッグデータを活用した研究(共同研究責任者カチョン大医学部大チョン・ジェフン教授)中間結果によると、

 

   国内オミクロン流行時期に確定した1,200万人余り*を対象に、確診以後4ヶ月間追跡観察し、27の主要疾患(心血管系、血栓関連、神経系、呼吸器系、消化器系、內分泌系など)発生リスクコロナ 19 ワクチン接種有無により比較した結果、

    *  (確診時期) '22.1.15 ~ '22.4.15 (3ヶ月間)


  2回以上ワクチン接種者は、未接種者に対するコロナ19感染後の心血管疾患(虚血性心疾患、心不全、不整脈、心停止)血栓関連疾患(閉塞栓症、静脈血栓症)腎疾患(急性腎不全、血液透析)呼吸器疾患(慢性閉塞性肺疾患、間質性肺疾患)肝硬変糖尿病などの疾患発生リスクが有意に減少し、心停止発生は2回以上予防接種群で54%(95%信頼区間45%〜63%)、間質性肺疾患 発生は62%(95%信頼区間47%~73%)低かった(添付1参照)


<コロナ19ワクチン接種と疾患発生関連性:危険度評価>


   また、3回ワクチン接種者は2回接種者と比較したとき、心臓疾患(心不全15%、不整脈16%、心停止27%)腎臓疾患(血液透析27%)などの疾患発生リスクが追加的に減少したことが示された( 添付1参照)。

  

   ビッグデータに基づくコロナ19関連標準疾病コード(U09.9)を通じて、コロナ19の確診者が多い時期である2020年10月から2022年10月まで(2年1ヶ月間)の国内発生様相を分析した結果、慢性コロナ19症候群*と診断された症例は合計9万4千人余りで、確診者の0.4%水準であることが確認された。

   * 病気分類コードU09.9:詳細不明のコロナ-19以後の病態、「2020年10月新設」

 

   上記の時期には、標準疾患コード(U09)*による慢性コロナ19症候群の診断頻度も高いことが観察され、他の慢性コロナ19症候群の研究結果と同様に、U09コードと診断された症例でも男性より女性で、年齢が高いほど さらに診断頻度が高かった(付録1参照)

 

  疾病庁は今後、ビッグデータを活用してコロナ19急性期に服用した治療剤が慢性コロナ19症候群の発生に及ぼす影響、慢性コロナ19症候群と考えられる疾患群を追跡観察し、コロナ19以後中長期的に影響を及ぼす可能性のある疾患群に対する研究を継続し、その結果を発表する計画だ。

 

  また、慢性コロナ19症候群調査研究事業では、小児および成人を対象にコホートを構築し、長期観察臨床研究を行う予定だ。

 

   このためには、コロナ19の確診履歴があり、持続する症状慢性咳、呼吸困難、不安/うつ、疲労、記憶力低下など)がある国民の持続的な関心と参加が必要であり、慢性コロナ19症候群調査研究事務局を通じて 参加方法*等を案内している(添付2及び添付3参照). 

    * コロナの確診履歴がなくても比較研究のために参加可能

 

   国立感染病研究所のチャン・ヒチャン所長は、「国内の確診者を対象とする慢性コロナ19症候群の調査研究は、診療指針の提示および管理対策案の策定のために重要であり、調査研究が忠実に進行できるように国民の皆様の積極的な参加をお願いし、追加分析を通じて研究結果を発表する予定だ」と明らかにした。


添付 1

 

 ビッグデータ活用慢性コロナ19症候群調査研究中間結果

 

 コロナ19感染後の主要疾患発生リスクとワクチン接種の効果

  (研究設計) 2022.1.15.~4.15。 オミクロン大流行時期、確診した12,309,934人を感染後4ヶ月間追跡観察し、27の主要疾患の発生リスクを接種有無、回数別に比較

  (結果) 

   - (ワクチン接種効果)未接種者に比べ2回以上接種者は、コロナ19感染後の心血管疾患、血栓疾患、腎臓疾患、呼吸器疾患、肝硬変、糖尿病などの発生リスクが減少

疾患分類

100万人当たり発生率

補正危険度

p値

未接種者

2回以上接種者

心血管疾患

 

 

 

 

 虚血性心疾患

1.32

0.85

0.78 (0.63-0.98)

0.034

 心不全

5.04

2.08

0.64 (0.56-0.72)

<.001

 急性心筋炎

0.03

0.01

 0.59 (0.14-2.52)

0.47

 不整脈

3.28

1.90

 0.78 (0.67-0.90)

<.001

 心停止

2.06

0.51

 0.46 (0.37-0.55)

<.001

血栓関連疾患

 

 

 

 

 肺塞栓症

1.59

0.75

 0.65 (0.53-0.81)

<.001

 静脈血栓症

1.94

0.82

0.51 (0.43-0.62)

<.001

神経系疾患

 

 

 

 

 出血性脳梗塞

1.26

0.76

 0.77 (0.61-0.97)

0.03

 虚血性脳梗塞

2.98

2.35

 0.98 (0.85-1.14)

0.83

 その他の脳血管疾患

4.00

3.48

 0.99 (0.87-1.12)

0.84

 非感染性髄膜炎、脳炎

0.32

0.15

0.59 (0.36-0.96)

0.03

 脱髄疾患

0.02

0.05

 3.99 (0.52-30.72)

0.18

 挿話性障害

1.61

0.69

 0.69 (0.55-0.85)

<.001

 筋無力症

0.18

0.08

0.60 (0.32-1.14)

0.12

腎臓疾患

 

 

 

 

 急性腎不全

2.54

0.94

 0.65 (0.55-0.78)

<.001

 血液透析

1.28

0.39

 0.54 (0.42-0.70)

<.001

呼吸器疾患

 

 

 

 

 喘息

1.83

1.11

 0.88 (0.73-1.07)

0.21

 慢性閉塞性肺疾患

5.10

2.84

0.74 (0.66-0.83)

<.001

 間質性肺疾患

0.83

0.20

0.38 (0.27-0.53)

<.001

消化器系疾患

 

 

 

 

 胃潰瘍

6.42

5.50

0.97 (0.88-1.07)

0.51

 炎症性腸疾患

0.30

0.22

0.84 (0.53-1.32)

0.44

肝疾患

 

 

 

 

 肝硬変

0.60

0.32

0.77 (0.54-1.09)

0.14

 自家免疫性肝炎

0.03

0.04

 1.32 (0.31-5.75)

0.71

 急性胆嚢炎

2.81

2.33

0.94 (0.81-1.10)

0.45

 急性膵炎

1.52

0.96

 0.72(0.58-0.89)

0.002

内分泌疾患

 

 

 

 

 糖尿病

4.71

4.19

 1.04 (0.92-1.17)

0.53

 甲状腺疾患

2.24

1.79

 1.00 (0.85-1.18)

>.99

 (3回接種効果)3回接種者は、2回接種者に対する平均年齢が10歳以上高いにもかかわらず、心血管疾患、腎疾患などの発生リスクが減少

疾患分類

100万人当たり発生率

   補正危険度

p値

2回接種者

3回接種者

心血管疾患

 

 

 

 

 心不全

1.28

2.51

0.85 (0.77-0.93)

<.001

 不整脈

1.15

2.29

0.84 (0.76-0.93)

<.001

 心停止

0.31

0.62

0.73 (0.60-0.89)

0.002

血栓関連疾患

 

 

 

 

 肺塞栓症

0.55

0.86

0.79 (0.68-0.93)

0.004

腎臓疾患

 

 

 

 

 血液透析

0.23

0.47

 0.73 (0.57-0.92)

0.007

肝疾患

 

 

 

 

急性膵臓炎

0.82

1.03

0.87 (0.76-0.99)

0.04

  

 慢性コロナ19症候群診断コードを利用した分析

  (研究設計)国内U09[コロナ19以後の病態]と診断された事例の特性分析

    - 算出期間)2020年10月~2022年10月(2年1ヶ月)

  (結果)

    (全体および性別の状況)総患者94,393人、外来91,593人、入院3,059人

      男性[0.34%]より女性[0.47%]で診断率が高い

性別

診療区分

U09 患者数[名]

該当時期確診者[名]

診断率[%]

全体

全体

94,393

23,242,239

0.41

 

外来

91,593

23,242,239

0.39

 

入院

3,059

23,242,239

0.01

全体

36,852

10,885,221

0.34

 

外来

35,829

10,885,221

0.33

 

入院

1,123

10,885,221

0.01

全体

57,541

12,357,018

0.47

 

外来

55,764

12,357,018

0.45

 

入院

1,936

12,357,018

0.02

 

    (年齢別状況)60歳以上の高年齢層で診断率が高い

      -  10代未満0.11%対比60代以上は0.87%と約8倍高い診断率

 

10代未満

10代

20代

30代

40代

50代

60代

70代

80代以上

全体

2,951

4,859

8,931

11,797

14,106

14,791

20,623

10,597

5,768

確診者

2,616,687

2,976,348

3,466,329

3,412,395

3,557,439

2,943,652

2,404,302

1,172,487

692,600

診断率

0.11%

0.16%

0.26%

0.35%

0.40%

0.50%

0.86%

0.90%

0.83%

 

   (月別状況)オミクロンBA.1/2大流行直後、最も多い診断件数発生(23,122)件、流行とU09診断増加と約1ヶ月の時差



添付 2

 

 慢性コロナ19症候群調査研究事業概要

①事業目的

 国内慢性コロナ19症候群管理対策の科学的根拠づくりと未来感染病対応体系の構築

②事業内容

 小児青少年を含むコロナ19確診者コホート研究による慢性コロナ19症候群の発生率、症状、危険因子、発生原因などを調査、治療ガイドラインを提供

③事業期間

 22年8月 ~ 25年12月

④推進体系

ㅇ(疾病管理庁)事業構成及び予算編成、対応等管理総括

ㅇ(韓国保健産業振興院)研究課題選定、評価、精算、進度、成果管理

ㅇ(主管研究開発機関)研究遂行主体として、共同研究機関を構成し、

    共同研究(必須)、総括機能(共同研究課題の進捗、成果管理など)を実施


(図略)

⑤重点分野

重点分野

研究内容

1. 臨床ベースの様態とガイドラインの研究

(総括)

小児青少年を含むコロナ19確診者コホートの構築と運営によるコロナ19後遺症様相調査研究、治療ガイドラインの提示

2. ビッグデータベースの後遺症研究

(共同1)

同事業の臨床研究や仲介研究などの同意書ベースの資料DB構築、活用プラットフォームの開発、活用研究

3. 仲介研究

(共同2)

コロナ19後遺症発生原因究明、バイオマーカー探索などのための仲介研究

研究参加

コロナ19の確診有無に関係なく研究参加可能

事業参加病院:16の医療機関(ソウル8、京畿4、忠清1、全羅1、慶尚1、江原1)

連絡先:010-6243-5281(ハンリム大学江南聖心病院)


添付 3

 

 慢性コロナ19症候群調査研究事業広報資料


(画像は省略)


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