原文リンク 2020年9月18日作成
韓国の報道団体が作成した「感染症報道準則」2020年4月28日作成の日本語訳です。
添付 3 |
| 「感染病報道準則」(2020.4.28.) |
○以下は2020年4月28日、韓国記者協会・放送記者聨合会・韓国科学記者協会が制定した「感染症報道準則」の主な内容で、感染症関連報道の際に参考にして下さい。
感染症報道準則
■前文
感染症が発生したとき、正確で迅速な情報は、国民の生命保護と安全に直結するだけに、何よりも正確な事実に基づいて報道しなければなりません。
推測性記事や誇張された記事は国民に混乱を引き起こしていることに留意して、感染症を退治して、被害の拡散を防ぐのに私たちジャーナリストも皆一緒に努力します。感染症関連の記事を書くときは、必ず専門家の助言を求めた後、作成するようにし、過度な報道競争に被害者の私生活が侵害されないように最大限の努力をします。
私たちジャーナリストは感染症関連の記事が、私たちの社会に及ぼす影響力と社会的な波紋が大きいという点を理解して、次のように原則を立てて守っていきます。
■基本的な原則
1.感染症報道の基本内容
(あ)感染症報道は、その病気に脆弱な集団に知らせ、予防法や行動規範を優先し繰り返し提供する。
(い)感染症の治療に必要な医薬品や機器などを備えた医療機関、保健所などの情報を提供する。
(う)感染症関連医学用語は、一般の人々が理解し易いように伝達する。
2.新型感染症の報道
(あ)発生原因や感染経路などが不確実な新型感染症の報道は、現在の医学的に明らかになったものと明らかにされていないことを明確に区分して伝達する。
(い)現在の不確実な状況に医科学分野の専門家の意見を提示し、推測、誇張報道をしない。
(う)感染症発生の初期報道時、疾病管理層を含む保健当局に事実かどうかを確認して報道し、情報源明記を原則とする。
3.感染の可能性に対する報道
(あ)感染の可能性は、専門家の意見や研究結果などの科学的根拠に基づいて報道する。
(い)感染症の発生率、増加率、致命率等パーセント(%)を報道する時、実際の数値(件、人)を一緒に提供する。
(う)感染の規模を報道する際、地域、期間、単位などを正確に伝達し、患者数、疑い患者数、病原体保有者数(感染人数)、接触者数などを区分して報道する。
4.感染症研究の結果報道
(あ)感染症の新たな研究結果報道時、学術誌の発行機関や発表した研究者の視点が研究機関、医療、製薬会社の特定の利益と関連があるのか、政府の立場を一方的に支持しているかを確認する。
(い)感染症関連研究の結果は、全体の研究の中での中間段階なのか、最終的な研究成果かどうかを確認した後報道する。 (例えば、臨床試験中の薬か、臨床試験が終わって、市販の承認を受けた薬か区分して報道)
5.感染者への取材・報道
(あ)不確実性のある感染症の場合には、記者を媒介とした伝播の恐れがあるため感染者に直接対面取材しない。
(い)感染者の取材だけで差別と烙印が発生することがあるので、感染者と家族の個人情報を保護し、プライバシーを尊重する。
(う)感染者の写真や映像を取材・報道に活用する場合、本人の同意なしに使用しない。
6.医療機関内感染報道
医療機関内感染拡散の取材・報道の際、治療環境に対する不安感や混乱を考慮して、原因と現場の状況について、感染の専門家の助言や確認が必要である。
7.感染症報道時の注意すべき表現
(あ)記事のタイトルにパニック、大混乱、大乱、恐怖、猖獗など誇張表現の使用
「国内初の患者に発生したマーズ”致死率40%”...中東の恐怖465人が死亡!」
「"海外旅行予約0件 "...旅行・ホテル業界コロナ19続いて”コロナ恐怖症”の悪夢」
(い)記事本文の刺激的な修飾語の使用
「去る2013年韓国社会を混乱に陥れた”殺人ダニ”の恐怖が再び浮き上がった。 "
「全国に史上最悪の伝染病の大災害をもたらしたマーズ(中東呼吸器疾患)が疑われる患者がまた発生した。」
「”コロナ19”'に粉砕された地域経済... "公企業の役割をせよ"」
(う)誤認が懸念される他の感染症との比較
「野生ダニ、エイズより恐ろしい...噛まれたら死亡リスク大」
「伝播力マーズの”1000倍”」...香港インフルエンザが流入したら大災害 "
■勧告事項
1.感染症発生時は、各報道機関は、特別取材チームを構成している、感染症のための十分な事前教育を受けていない記者が無分別に現場に接近することが無いようにしなければならない。
2.感染症発生時、保健当局はジャーナリストを含む特別対策班(T / F)を構成し、関連情報が国民に迅速かつ正確に伝達されるようにしなければならず、危険地域への接近取材時、共同取材団を構成して、記者たちの安全と防疫に備えなければならない。
■別添
<参考1>感染症情報公開関連法令
感染症の予防及び管理に関する法律(略称:感染症予防法)
第34条の2(感染症危険時の情報公開)
①保健福祉部長官は、国民の健康に危害になる感染症の拡散時、感染症の患者の移動経路、移動手段、診療医療機関や接触者の現状など、国民が感染症予防のために知っておくべき情報を迅速に公開しなければならない。ただし、公開された事項のうち、事実と違ったり異議がある当事者は、保健福祉部長官に異議申請をすることができる。
②第1項の規定による情報公開の範囲、手順、および方法等に関して必要な事項は、保健福祉部令で定める。 [本条新設2015.7.6]
感染症の予防及び管理に関する法律施行規則(略称:感染症予防法施行規則)
①第27条の3(感染症危機時の情報公開範囲や手順など)
感染症についての「災害と安全管理基本法」第38条第2項の規定による注意以上の予報や警報が発令された後は、法第34条の2に基づいて感染症の患者の移動経路、移動手段、診療医療機関や接触者の現状などを情報通信網に掲載したり、報道資料を配布するなどの方法で国民に公開しなければならない。 [本条新設2016年1 7.]
<参考2>感染症報道時の基本項目
- 病気情報(国内外発生状況、病原体、感染経路、潜伏期間、症状、診断、治療、患者の管理、予防の心得)
- 疑い患者と確定患者の現状(届出件数、疑い患者件数、確診患者数)
- 確診患者関連(患者の移動経路、移動手段、診療医療機関、接触者の現状など)
- 国民行動要領や政府の対策、感染症の拡散防止及び被害最小化のための地域社会と国民参加など
■附則
この準則は2020年4月28日から施行し、この準則を改正する場合には、制定過程に参加した3つの言論団体と、準則に同意したメディア団体で改正委員会を作って改正する。
2020年4月28日
韓国記者協会、放送記者聨合会、韓国科学記者協会
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